ガム食ってるわけです。
わりとすぐにバレるよね。先生怖いし。ともだちは金では買えないし、ガムをあげても手に入れることはできない。
身体的特徴で仲間外れにされてしまう子供の世界って残酷。ほんの少しだけ自信がつけば、ほんの少しだけ勇気を出せば変わるんだろうけど、内気な子には簡単なことではない。わかる。人と違うってことは実は当たり前のことなのに、子供の世界ではそうはいかない。
太陽が沈み夜が忍び寄り
夕闇が空を覆わずに
夕闇は空に触れる
感性が煌めく。眠っている言葉の才能が、ゆっくりと目を覚ましていく。なんて詩的な物語だろうか。分かりにくい描写もそりゃあね多少はあるけれど、それを補って余りある言葉の持つ美しさと力強さ。
ニュージーランドの作家ジャネット・フレイムの三つの自伝に基づいて、三部構成で紡がれる真実のストーリー。長い。確かに長いけれども、その人生の物語はなぜだか無性に胸を打つ。彼女の傍らには、人生の苦しみが常に寄り添っていました。
■第一部「イズ=ランド(島)へ」
ニュージーランドの大自然の中で生まれ育つジーン・フレイムの抑圧された日常と、どうにもならない家族との出来事を描く。
■第二部「AN ANGEL AT MY TABLE」
精神病院で過ごした絶望の8年間。この世の地獄のような娯楽室。死ぬほどの苦しみを伴う電気治療を200回も施されて廃人のようになってしまう。決定したロボトミー手術。天使と出会うまでを描いた悲しすぎる青春時代。
■第三部「鏡の街からの使者」
ニュージーランドからイギリス、フランス、スペインと、ジャネットの世界が広がっていくのが嬉しい。
それぞれ別の映画を観ているような三部作でした。