ハマジン

ポパイのハマジンのレビュー・感想・評価

ポパイ(1980年製作の映画)
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カートゥーン・アニメの動きを役者たちの生身の身体で「完コピ」するという、正気の沙汰とは思えない超絶大怪作。この企画が通って映画が製作されたということ自体が奇跡。
画面のいたるところで何かしらのスラップスティック・ギャグや器物損壊がひっきりなしに起こる異常なテンションのカオス状態がほぼ最初から最後までつづくので次第に感覚が麻痺してくるという、完全にドラッグ・ムービー仕様。一度見ただけでは全体を把握することが困難なレベルで、ポパイすら背後に隠れてしまう瞬間が何箇所もある。このような徹底して拡散した画面作りをはじめ、理不尽な税金を取り立てるキチガイ徴税吏のマシンガントークや、フィナーレで「ポパイのテーマ」を歌うしゃれこうべ(!)の背後に星条旗を模した旗をチラッと見せるショットの皮肉ッぷりなどは、さすがのロバート・アルトマン印。
全身がマカロニで出来てるみたいなクネクネした動きがヤバカワイイオリーブ(シェリー・デュヴァル)が、劇中くるくる踊りながら歌う"He needs me"は、ポール・トーマス・アンダーソン監督『パンチドランク・ラブ』でも引用された名曲ですね。
あとホウレンソウ缶が心の底からマズそうなの、すごくいい。緑色した吐瀉物にしか見えない。
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