地底獣国

セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズの地底獣国のレビュー・感想・評価

3.7
カネも無い、人脈も無い、才能も無い、あるのは根拠のない自信と志だけというボンクラ映画製作テロ集団「スプロケットホールズ」。主演映画の上映イベントにやってきた女優ハニー・ホイットロックを拉致し、彼女をキャスティングして究極の自主映画を作ろうとする…

ホールズのメンバーが各々の敬愛する監督の名をタトゥーで入れてるとか、「パッチ・アダムス」が無駄に長いとかポップコーンの値段が馬鹿高いとか映画あるあるネタ、フォレストガンプ2のアホっぽさとかも楽しいし、「俺にはビジョンがある!」と喚くたびに「絶対無いやろ」ってツッコミたくなるルサンチマンの塊みたいな主人公を始めとするホールズに対するジョン・ウォーターズの生温かい眼差しも絶妙。

ただまあポルノ映画館の場面は天丼ギャグとしても上手くなかったし、あそこでテンポが悪くなったんでどうにかしてほしかったかな。

あと、本作のマギー・ジレンホールは「ダークナイト」レイチェル役の100倍は魅力的だった事を忘れずに書いておきたい。ヘイルサタン!

余談:ジョン・ウォーターズ映画常連のパトリシア・ハーストは本作にも出演しており、ホールズの一員になっている息子をなんとか脱退させようとする女性の役(ご存じでない方のために説明すると、パティは19歳の時、左翼過激派グループに誘拐されその後1年半にわたって彼らと行動を共にし武装強盗を行ったりしていた事があり、本作はその事件のパロディ的な構造になっている)。さしもの悪趣味映画の帝王ウォーターズもハニーの母親役にするのは無理だった模様。
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