シンタロー

ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女のシンタローのレビュー・感想・評価

3.4
1931年、作家アナイス・ニンは、銀行家の夫ヒューゴーの仕事でパリに越してきた。バイセクシャルであるアナイスは性に関心が高く、夫に内緒で官能日記を綴っていた。ある日、無名の作家ヘンリー・ミラーと知り合い、彼の情熱的な魅力に惹かれる。ヘンリーが住むスラム街を訪れると、彼はアメリカに残してきた女優の妻ジューンの映画を観て泣いていた。ジューンは体を売って、売れないヘンリーを支えてきたのだった。やがてジューンもパリに来ることになり…。
「存在の耐えられない軽さ」の激しく大胆な性描写で話題になったフィリップ・カウフマンが、アナイス・ニンの日記を基に映画化。さらに奔放で、淫美な描写が話題になった本作。いくらなんでも狙い過ぎたかな。演出、構成もちょっと間延び感があって回りくどいのですが、女優2人のあふれんばかりの魅力でもたせてしまっています。
主役のアナイス・ニン役には、ポルトガル出身の舞台女優で、映画はほぼ初主演のマリア・デ・メディロス。こぼれ落ちそうな眼差し、折れてしまいそうな肢体、儚げなウィスパーボイスが大変個性的で魅惑的。出し惜しみなしのヌード満載で、体を張った大熱演ぶりです。もっと作品を観たかった女優さんですが、ほとんどヨーロッパの作品で、残念ながら日本にはあまり配給されませんでした。ジューン役には、モデル出身で当時20歳の新進女優ユマ・サーマン。後に一線で大活躍されますが、この時の演技はまだ発展途上な感じ。それでも妖しいオーラと存在感、眼力の強さだけで場をさらうから凄い。役作りには大変苦労されたそうですが、20歳の娘にこの役はキツかったでしょう。ユマのヌードはボディダブルだそうで、ちょっと残念。当時の夫ゲイリー・オールドマンがチラッとゲスト出演。マリア・デ・メディロスとは後に代表作の「パルプ・フィクション」で再共演。私含めマニアファンを喜ばせたと思われます。
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