カテリーナ

ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女のカテリーナのレビュー・感想・評価

3.0
妖艶な女たちの競演

『パルプフィクション』に出演する前の
ユマ・サーマンとマリア・デ・メディロス
そこにフレッド・ウォードが絡む
1931年文芸評論家のアナイスがパリで銀行家の夫と過ごすひと夏
そこで出逢った作家のヘンリー・ミラー
の粗野で男臭い魅力に惹かれる
ヘンリーを訪ねたアナイスが映画館で彼を見つける スクリーンには美しい女優の
ジューンが妖しく男と絡み合う
それを見ていた彼は涙を流していた

アナイスとヘンリー
アナイスとジューン
ヘンリーとジューン

男と女 女と女の性をこれでもかと見せられ
マリア・デ・メディロスの着飾った厚化粧のアップを多用 若干辟易する
しかし、確かに彼女は官能的で
妖艶 なのを否定できない
アナイスが夫に抱かれながら
フロアーの男たちの視線に晒されながらも
矢のような視線で挑発するシークエンスは
匂い立つようなエロスを発する

エゴイストの塊のようなジューンは
自分の事を自由奔放な女として描かれる事に不満をぶつける ヘンリーの才能を信じていても自分へのリスペクトを文字にして
賞賛して欲しいのだ
しかし自身の芸術の世界を貫きたいヘンリーとの齟齬が露わになりふたりの絆が崩れて行く
愛しているのに 理解できない
ふたりの悲しみが伝わる

その隙間を埋めるように
慰め 相手を理解したかのように振る舞う
アナイスが強かだ
ふたりから必要とされ求愛されるがままに
ふたりの間を波のように彷徨う
それは描くための道具なのか
純粋に愛を求めているのか
私には理解できなかった
アナイスの見た悪夢では
ジューンに抱かれると
彼女の身体にペニスが触れる
彼女の倒錯した性への衝動は暴走する

アナイスの従兄弟の台詞はこの関係性を指摘する
「異常な関係は正常な関係の歓びを殺すよ」
カテリーナ

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