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元祖大四畳半大物語のHKのレビュー・感想・評価

元祖大四畳半大物語(1980年製作の映画)
3.0
先月85歳で亡くなった松本零士の作品を選ぼうとしたら、劇場版アニメは「ヤマト」も「999」も「ハーロック」も、どれを見ていてどれを見てないのかもはや判別不能で迷っていると、松本零士本人が監督した未見の実写作品を発見!

本作は『男おいどん』など四畳半シリーズの前身である『元祖四畳半大物語』を1980年に実写化した作品で、松本零士と曽根中生の共同監督。こんな作品があったとは。

曽根中生はほとんどが日活ロマンポルノの作品ながら『嗚呼!!花の応援団』や『博多っ子純情』など漫画が原作の一般映画も撮っており、本作もR指定ではなく一般映画。

私自身は『男おいどん』は読んでいますが、他の四畳半シリーズは未読。
でも『男おいどん』と概ね近しい世界観で、九州から上京してオンボロアパートの四畳半に下宿する19才の主人公とその周辺の人物たちが描かれます。

『男おいどん』でも定番のラーメンライス、インキンタムシ、サルマタケも登場(ちなみに私は小学生の頃、この漫画でラーメンライスという言葉を初めて聞き、その時は丼にラーメンとご飯を入れて一緒に食べるのかと思ってました)。

キャスティングもこだわっており、とくにヤクザの情婦を演じた篠ひろ子はスレンダーでクールな容姿が松本零士が描く全ての女性キャラに非常に近いイメージ。
同じ下宿の大家の老夫婦(若宮大佑と原泉)やアパートの住人のヤクザ(前川清)、オカマ(ラビット関根時代の関根勤)などの懐かしい面々も悪くはありません。

しかし、失礼ながら問題なのは主人公。
一般のオーディションで選ばれたようですが、原作のビジュアル・イメージに忠実なのはわかりますが、あれは漫画だからよかったわけで・・・

原作がもつ独特のなんともいえないトボケた世界観が、実写になるとリアルで妙に痛くて残念(今じゃNG用語・表現も多々あり)。

他に松本ちえこ(こんなタレントいたな~)やガッツ石松なんかも出演。
自ら作詞・作曲した主題歌を歌うのは加藤登紀子。

かつて私の実家があった北九州の漫画ミュージアムでは、同郷の福岡出身の作家ということもあり、メーテルやハーロックの像が立ってます。
昔その前で子どもたちと写真を撮ったのを思い出しました。合掌。
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