スギノイチ

喜劇 女の泣きどころのスギノイチのレビュー・感想・評価

喜劇 女の泣きどころ(1975年製作の映画)
3.8
タナダユキの映画はひとつも面白いと思ったことがないし、先日見た『浜の朝日の嘘つきどもと』に至っては不快なぐらいだったのだが、この映画の存在を教えてくれたことは感謝している。

途中まではトリオ主人公スタイルで進むが、直情的な太地喜和子が昔の男に口説かれて一味を抜け出し、残された中川梨絵と湯原昌幸がデキてからは、中川梨絵が実質的な主役になる。
安アパートに感激したり、ヤキモチを焼いたり…
感情表現がまっしぐらで、ロマンポルノ出演作より魅力的だった。
対する太地喜和子は本当にどうしようもない女で、男に捨てられた挙げ句に変なスケバングループに拾われるも、若い女たちにバカにされ、ふてくされて飲んだくれとなる。

どうしようもない人間しか出てこないが、昭和の映画というのは、こういう人たちを喜劇として活写するから好きだ。
男女の物語としては限りなくバッドエンドに近いが、太地喜和子と中川梨絵は逞しく駆け抜ける。
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