垂直落下式サミング

情無用の拳銃の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

情無用の拳銃(1960年製作の映画)
4.0
警備隊に配属されたばかりのオーディ・マーフィが、相棒を失いながらも荒くれ者を捕らえるのに成功するが、連行中ともに過ごすうちに彼の人間的な魅力に徐々に惹かれていく。性格の異なるふたりのガンマンの奇妙な友情と対決を描いた西部劇。
黒ずくめでニヒルな敵役を演じたバリー・サリバン。気を許せない不敵な悪党でありながら、人間的魅力に溢れたキャラクターに造形が本作のキモ。この悪役とヒーローとの絡みが他作品との相違点。
連行中も、処刑台にあがる気はさらさら無いぜと飄々と振る舞っており、このわざと捕まってやったかのような態度は、負け惜しみや強がりの類いではなさそうな自信に満ちている。
主人公のオーディ・マーフィは実直な好青年をやっていて、それ事態は可もなく不可もないが、兄と先輩を殺した憎むべき悪党なのに、心のどこかで彼に憧れに似た感情を持ってしまって、不思議な師弟関係で旅が進んでいく。若者は正義をつらぬけるのかと、心理的な葛藤がみどころだ。
音楽もいい。テーテテテテーン。似たようなメロディーラインの繰り返しで、雄大な自然を背景に牧歌調な旅に花を添えたり、荒くれやアパッチとの戦いに緊迫をもたらしたり、音色を変えながら場面々々にマッチしている。
アクションでみるべきは、敵の待ち伏せ攻撃をうけた際に、咄嗟に馬から降りて、銃を抱えて姿勢を低くしながら物陰までダッシュするオーディ・マーフィ。明らかに素人じゃない!陸軍の動き!出発前から先輩風ふかしてた軍曹のほうがもたもたしすぎで、こりゃあこっちは撃たれても仕方ないなと…。
他にガンアクション関連でいくと、主人公に好意をむける女の子が、悪役が発砲した流れ弾をうけて、被弾のショックで倒れる演技がうまくてゾワッっとなった。この町娘役は、ヴェネチア・スティーブンソンという女優らしい。めっちゃかわいい。好き。
主人公の役名はジョーンズ。セブン・ジョーンズ!山田七太郎です!みたいな適当なネーミングかと思ったが、お兄さんはトゥー・ジョーンズというらしい。ジョーンズさん家は子沢山だわねえ…。