koss

がめつい奴のkossのレビュー・感想・評価

がめつい奴(1960年製作の映画)
3.2
オープニングの空撮とナレーションから、思わず川島雄三を思い出してしまう。何度も映される丘の上からの通天閣も「貸間あり」に似ている。

ロングラン記録の舞台の映画での拡大収益を狙う藤本真澄、その役目を果たす笠原良三、具現化する千葉泰樹に俳優たち。東宝の演劇と映画の相違或いは乖離を象徴するような作品である。

舞台では成立する面白さが、映画ではリアル過ぎて、ブラックなコメディとしても笑えない単調さ帯びてしまい、下衆たちの空事になってしまった。コメディや人情噺だけでなくダークなシリアスドラマも上手い千葉泰樹でもその溝は埋められなかったようだ。ただ、舞台のハマり役であるゼニ婆扮装の三益愛子と名子役の中山千夏を映像に残した価値は高いだろう。
koss

koss