チッコーネ

ヒーロー・ネバー・ダイのチッコーネのレビュー・感想・評価

ヒーロー・ネバー・ダイ(1998年製作の映画)
4.0
バランス感覚がそうさせるのか、監督作のランニングタイムはコンパクトにまとめられていることが多い。
本作も然り、例え撮影されていたとしても、本編に使われていない描写は多く、想像で補わざるを得ないのだが、それでも泣ける力強い裏バディ映画…、メインテーマの力によるところも大きく、中村八大先生のすごさに改めて感じ入る。
復讐に燃え、それぞれに絶命する男たちだけにとどまらず、身を売り、全身に火傷を負いながら男を支える女たちの献身も、きれいごとでは済まされぬ迫力だった。

導入となる前半はクリストファー・ドイルを意識したのか、やや動が過ぎる撮影。
幻想的な雰囲気すらあるが、ラウ・チンワンに充てられたスタイリングは漫画調で、彼の登場場面は西部劇のパロディを意識させる。
またバダラメンティ風の劇伴、後半に車椅子で奮闘するチンワンが『ライブ・フレッシュ』のハビエル・バルデムを想起させるなど、同時代作品への目配りも感じさせた。