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見えない恐怖のmaruseiのレビュー・感想・評価

見えない恐怖(1971年製作の映画)
3.7
蔦屋書店の良品発掘シリーズで発見。

序盤はわりと穏やか。
乗馬中に落馬して目が見えなくなった主人公サラが退院して、一緒に暮らしていた叔父、叔母の屋敷に帰ってくるところから内容は始まる。
同じ騎手仲間のとっても優しい恋人がいたり…これがホントにホラーサスペンス⁈と思っていたら…

なぜか突然始まる恐怖!殺人鬼の影!
長めの穏やかなシーンが続いただけにギャッ!となる。
何が怖いって、主人公サラは目が見えない。だから自分の外出中に家の中で何が起き、帰宅した自分の目の前やすぐ横に何が転がっているのかも気付けない。その気付けない状態の中で翌日までいつも通り過ごしてしまう…
全くの無音状態、その家の中で過ごすシーンの恐ろしさったら。

この作品はカメラワークが更に恐怖を煽ってくる。ある一点や物にズームアップするのはもちろん、螺旋階段をグイっと下から見上げたり、床に這いつくばってそのままグーンと進んだり、すぐ横をバッと見たり…まるで人の視線のような動き方なのだ。
目の見えない主人公サラのまごついた動作の代わりに自分がその目になってあげてるかのような…だから目の前の光景の唯一の目撃者は自分!というリアル感が恐ろしいのだ。
そして追ってくる殺人鬼の足音…

ホッと安堵したのも束の間、ラストはまた意外な恐怖に包まれる。サラの目線での恐怖がまた自分の呼吸を苦しめる。

私はコンタクトで、裸眼だと足の爪も切れないし、道路も渡れないくらい視力が悪い。全く見えないってわけではないが、裸眼で外に出た時はホントに不安で身動き不能。西瓜割りの時の目隠しもすっごく怖くていつも方向さえわからなくなる。
当たり前に見えてるってことに感謝したくなった。
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