千葉コウヘイ

見えない恐怖の千葉コウヘイのレビュー・感想・評価

見えない恐怖(1971年製作の映画)
3.9
見せ方の教科書的な作品。主人公は目がみえない。そんな少女に殺人鬼が表れ、一家が殺される。そこからこの作品のコアな部分が表現される。目が見えないことは、殺人鬼も、死体も見えない。殺人鬼の顔がラストまでゼッタイに見せず、足のみを写す。その足を印象的にするために、星の入ったブーツを選んでいる。そこがかなり秀逸だろう。普通にスニーカーを履かせるのではなく、観たものには印象に残る、星のブーツを選んでいる。90%少女の視点なので、見せず、見せず、そしてやっと死体を見せる。もちろん少女には死体は見えないが、彼女と同じ視点を体感できるであろう。
少女が死体を発見するときのカメラだが、途中で止まり、ドアにクローズアップ。少女がドアを開け、恐怖の顔で叫ぶカットはかなり考えたであろう。なんという作品意欲。
彼女にとっての恐怖は、死体を見たり、音で体感するのではなく、実際に触らないとわからない。体で、感触でないと理解できないのである。見えない恐怖というのはどれほどの恐怖であろう。それを我々は見て体験するのである。
千葉コウヘイ

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