「あなたも特別よ。あなたと出会えたのは奇跡」
「音符に乗って旅をする。最初の出会いが運命を決める。旅が終わりし頃、帰り道は速いキーに隠されている」
「彼が最初に会った人。彼の背中は一生忘れないわ」
父が教師を務める淡江音楽学校に転校したシャンルンは、旧校舎のピアノ室で美しい少女シャオユーと出会う。家庭の境遇が似ていることもあって、シャンルンは彼女に惹かれていくが、彼女にはミステリアスな雰囲気がつきまとっていた。やがて、思いもよらない秘密が明らかになる。
台湾出身の歌手・俳優としてアジアでトップクラスの人気を誇り、ハリウッドでも映画デビューを果たしたジェイ・チョウさん。本作はそんな彼が脚本・主演、さらにはピアノの演奏にエンディングの主題歌も担当した監督デビュー作であることにまず驚かされます！青春ラブストーリーの中に、ミステリーとファンタジーが待ち受けています。
作品の舞台は、台北の北西にある港町、淡水。「台湾のヴェニス」ともいわれる情緒ある港町ですが、ジェイ・チョウさん自身の青春を過ごした地でもあるそうです。舞台となった旧校舎の八角形の塔が印象的な音楽学校には、ジェイ・チョウさん自身が通った淡江高級中学が選ばれたそうです。映画に登場する教室や廊下やベンチも実際に校内にあるそのもの。主人公が学校帰りに自転車の二人乗りデートをする自転車道、風車、そのどれもが学生時代のジェイ・チョウさんの心に残った風景でもあるようです。それら一つ一つの風景で映画を彩っていることが、この映画に力強い説得力を与えています。
ヒロインの少女、シャオユーを演じたグイ・ルンメイさんもミステリアスな雰囲気を残しながら、はにかんでみせたり、嫉妬した表情を作ったり、私はこの映画をきっかけにすっかり彼女の魅力に取り憑かれてしまいました⁈やっぱ、みんな大好き♡グイ・ルンメイ、ですね⁈
ところでこの映画、全く同じ話でも、脚本と演出をちょっと変えただけで、今のロマンチック恋愛ファンタジーから超こわいゴシックホラーに変えることもできそうです⁈過去から来た死んだ女生徒の霊に取り憑かれて過去へとタイムリープし、その狂おしい恋に身を滅ぼす…⁈そんな選択をしなかったのも、やはり、監督のジェイ・チョウさんの青春の思い出が力強くはたらいているからかもしれませんね。
2024/04/03
台湾加油！
