くもすけ

北の橋のくもすけのネタバレレビュー・内容・結末

北の橋(1981年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

■すごろく
ドラゴンはともかくあの繭化武器はなんだったんだ。地理がわからないので脈絡なく移動しているように見ていると、いきなりぶっ飛ばされる。

謎の地図を見たマリーが鵞鳥のゲームという16世紀からあるボードゲームに言及する。63のマスからなり髑髏は死、橋は別のマスに移動できる、などのルールを持つ双六。

バチストが盗んだカバンには新聞の切り抜きがどっさり入っている。マリーと相棒が見出しの銀行強盗の記事、それとメスリーヌ。彼はリヴェットよりひと周り年下だがフランスの混濁を体現した傑物で、映画製作の少し前に派手に散ったばかり。

■短編
もともとリヴェットはアウトワンのリメイクを考えてオジェ親子と30分の短編Paris s'en vaを撮ったらしい。以下この短編について。

セリフはなく、親子がパリを歩き、読書し、パンをかじりながら市内の景色を渉猟する。わずかを除いて「北の橋」と同じだが、冒頭から親子のナレーションでゲームのルールが説明される。ついで男の声で「40にとまったら支払いを済ませて56まで飛ばされる」「監獄に止まったら誰かに解放されるのを待て」(サンテ刑務所が映る)「墓に止まったら振り出しに戻る」などと語られる。

これだけだと「北の橋」と同じだが、各景勝地を写した画面に親子のナレーションでナポレオンの運命が語られる。
何度も映るモンパルナスのライオンは国境付近ベルフォールのライオン像のレプリカ。ベルフォールのライオンは、自由の女神(自由の女神)の彫刻家であるバルトルディによる彫刻で、普仏戦争の英雄を模したものだ。広場の名前にもなっていて、その地下にはナチスからパリ開放を指揮した司令部が置かれたようだ。

「北の橋」では解体シーンが目立つが、短編では最後だけ。パスカルがステヴナン(マックス)と空手の型を練習し、カメラはゆっくりパンして解体途中の壁を映し、空が赤く焼けていく。マッチョなイメージに黄昏れて「北の橋」より明瞭な構成に見える。

■北の橋の先
ビュルが協力してロケを特定したサイトがある。場所はウルク運河とサン・ドニ運河の合流地点のようだが、橋はもうなくなっているhttp://www.thecinetourist.net/le-pont-du-nord-locations-identified.html
あちこち工事をしているのは、当時ミッテランの都市大改造計画が行われていたから。劇中の「はたご」に新シネマテークが移転したんだって。以下ブログがその他詳しい
http://nadja.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-f107.html

短編では名前もなく人物の相関はわからない。タイトルからパリの行方を案じた点は短編長編とも同じだが、別物のよう。
出典不明だが仏語wikiではビュルも出ていた「第3世代」とのつながりを指摘。そういわれるとパスカルがヘッドフォンで何を聞いていたのか訝ってしまう。ちなみにあっちでやってたゲームはモノポリー