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北の橋のmegusukeのレビュー・感想・評価

北の橋(1981年製作の映画)
1.5
自主映画チックな、やべー女達の謎解き冒険譚。

映画ナタリーが「現代のドン・キホーテ譚」と解説入れてて、物凄く腑に落ちた。
こういう作品こそ、詳しい解説が欲しいものだが…。

刑務所から出てきたマリーは、愛するジュリアンの為に、明らかに彼女の許容範囲外なヤバい事態にガンガン首を突っ込んでいく。
そんな彼女に、空手信奉者で独自の信念と世界の理に生きているバチストが興味を持ち、お守り役として着いて行くが…
というあらすじ。
マリーが閉所恐怖症でお店に入れない
バチストが街のライオン像達にガンを付け、竜の滑り台に喧嘩を売り、自分を監視してくる(見つめるような構図の)ポスターの人物の目をナイフで裂く
「蜘蛛の巣」「取り壊されて行く街並みと、整然とした表通り」などの散りばめたキーワード達から、なんとなく「自由」とかのテーマがあるのかなぁと感じた。

とにかく、観客を全く意識していない話の作り方で、目的の場所へ行く(雑談タイム)→人と落ち合う→なんか揉める→夜を越せそうな所を探すを4回ぐらい、同じ様な時間配分で繰り返すのでダレるし
主要人物達の情報も、ほぼ当人達の会話からしか語られない。特に、マリーが刑務所から出て来た人物と自ら語るのが話の後半なので、それまでは久しぶりにあった恋人が冷たい、閉所で呼吸できなくなる野宿女という事ぐらいしか読み取れる情報がないので、殆どの事象がよく分からぬまま進んでいくのを見届けるだけ。
バチストがガンつける以外は、カメラが引きで動きを追っているだけなので、人物の表情やちょっとした動きから察せる様な構図作りもない。
監督は映画史の編集長もやっている映画愛溢れる人物なのだと思うが、メソッドがしっかり確立されてしまっている令和の時代に観るには、些かキツさがあった。

ただ、割とシリアスな現代社会の冷たい土台に、メルヘンやファンタジーな要素を甘〜いシロップの様にまぶした世界観は独特でちょっとクセがある。
それと、自分の価値観や物差しで善と悪を計り気味な二人は、今生きている自分達を見ている様でもあり、愛おしい反面教師にも感じた。
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