Makiko

運命の饗宴のMakikoのレビュー・感想・評価

運命の饗宴(1942年製作の映画)
3.9
オムニバス。一着の夜会服が様々な人々の手を渡っていく中で、5つの物語が生まれる。似たような作品だと『黄色いロールス・ロイス』があるが、こちらの方が社会派。

富豪から貧民の手へ渡っていく夜会服が、初めは「おしゃれのため」の服だったのが次第に「仕事のため」「生活のため」の服になっていく描写が面白い。夜会服の持つ役割が明白になっていき、物語もまた人間の生き方、心の真髄に迫っていく様子を見ると、この作品は消費社会へのアンチテーゼとも取れる。

デュヴィヴィエ、初鑑賞なのであまり分かったような口は聞けないが、カットやカメラアングルから、これはさすが古典フランス映画ビッグ5のひとりといわれる人だ!と思った。同年代のハリウッド映画にはなかなか見られない技巧がある。

最終パートのプロットが共産主義っぽく、時代が時代なら赤狩りされそうに思えるが終章としては収まりが良い。
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