たてぃ

灰とダイヤモンドのたてぃのレビュー・感想・評価

灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)
4.9
抵抗三部作の三作目。ナチスドイツ撤退後のポーランド。しかし、今度はソ連が支配しようと企む。主人公はレジスタンス活動に参加しワルシャワ蜂起の際には地下水道から逃れてきた男で、上から「あの要人を殺れ」と言われれば躊躇なく殺すいわばヒットマン。そして今回は共産党の要人殺害の命令を受ける。しかし、要人が現れるために張りこんでいた酒場の女性をナンパのノリで口説いたら愛が深まり、そして「俺は一体何やってんだろ?」と葛藤が生まれる青春映画でもあり、ハードボイルド映画…

この作品には原作の小説があって当時の社会主義政権下のポーランドでは必読書だったようです。主人公も共産党の要人で「暗殺者に命を狙われる社会主義のヒーロー」で描かれております。しかし、当作品では暗殺者を「祖国の自由独立のために闘った男」として主人公にしてます。小説の印象が強いため、政府の役人も検閲の際は小説とおりに描くと思い込み、撮影にOKを出したようですが、見事に騙された形となりました。

印象に残るシーンは沢山(教会や花火のシーンなど)あるんですが、あえて1つだけ。それは、主人公がウォッカの入った5つのグラスの上に火を灯し、一人ひとりの名前を言うシーン。それは戦争で亡くなった仲間への弔い(ポーランドの古くから伝わる伝統のようです)…めっちゃかっこよかったです…

私個人は三部作の中ではこの作品が一番好きです。
たてぃ

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