イチロヲ

狂い咲きサンダーロードのイチロヲのレビュー・感想・評価

狂い咲きサンダーロード(1980年製作の映画)
4.0
暴走族から脱却できずにいる青年(山田辰夫)が、持ち前の暴力性を表出させながら、自分なりの生き方を模索していく。不世出の早熟監督・石井聰亙が、大学の卒業課題として製作している、バイオレンス・アクション。東映セントラルフィルム配給。

バイクで疾走することをアイデンティティにしている、チンピラの「生態」を描いている作品。青年期の「意味もなくムカつく感情」と暴走族メンバーの「怒りの感情」を符号させながら、人間の行動理念を説いている。

主人公に接触してくる極右の統率者(小林稔侍)が、理念の在り方を投じてくる立ち位置になっており、その一挙手一投足に全神経が刺激させられる。泉谷しげるの楽曲も見事にシンクロしており、主人公が抱えている焦燥感を際立たせてくる。

本作は「鑑賞者の生理に挑戦してくる作品」の金字塔であり、70年代の余波(ポスト・シラケ世代)への鎮魂歌とも捉えることが可能。同様のテーマを扱っている、日活ロマンポルノ(山田辰夫出演作あり)との重複もまた興味深い。
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