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東京暮色のmisatoのレビュー・感想・評価

東京暮色(1957年製作の映画)
4.0
夕暮れのようにどこか冷たく寂しい空気が漂っている。どんなに正しくて優しい父が居ても、母という存在は大きいものだ。子どもを身籠った時に、きっと母を一番に思い出しただろう。自分にはなぜ母がいないのか。切ないほどに最悪のタイミングで自分を捨てた母と再会することになった明子。母に愛された記憶があったら、男が誠実であったなら...。人間の心は寂しさには素直だ。

ここまで古い日本映画を初めて観てみた訳だけど、この作品に映っているほとんどのひとが高齢で、またはすでに亡くなっているのだなと思うと不思議な気持ちになった。シンプルでありながら、心にちゃんと残る作品であること、すごい時代だなと思った。

何よりも気になったきっかけは、タバコを吸う明子のビジュアルだった。こんなにも美しく洗練された女優さんがいることを知れてうれしかった。ファッションもとても素敵で、この時代に迷い込んでわたしもお酒を飲んでみたくなった。
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