荊冠

箪笥<たんす>の荊冠のネタバレレビュー・内容・結末

箪笥<たんす>(2003年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

韓国の古い怪談『薔花紅蓮伝』を現代風にスタイリッシュに脚色したホラー映画。
日本の和洋折衷みたいな、韓国の古い建築様式と洋風建築が合体したような屋敷がよかった。
実は姉妹の片割れはすでに死んでいて…というどんでん返しには『グッドナイトマミー』を連想したりしたが(勿論本作の方が先)、不可思議だったことがジワジワと明かされていくような展開で、しかし何とも不親切なので、一気に真相が暴かれ納得させられるような爽快感がなく、ちょっと分かりづらいな~という印象が残った。
結局すべては心が壊れた少女スミの妄想だったという話ではあるが、以下個人的に推測したストーリーを時系列純にメモしておく。

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医者の父、心を病んだ母、姉スミ、妹スヨンの4人家族が屋敷に住んでいた。

家に看護婦ウンジュが来て、叔父、叔母と共に食事を準備する。
この食事会は、第一は病んだ母の今後をどうするかという親族会議であったと思う。もしかすると、母の看病のため、あるいはもう看きれないと、ウンジュを後妻として迎えると紹介する機会だったかもしれない。
ここで夫の浮気を察知した母が自殺。(実際に父が浮気していたかは分からない。しかしウンジュはスヨンの食事を捨ててつらく当たっているので、父のことが好きだったと思う)
スヨンは母を助けようとして箪笥の下敷きに。

ウンジュは下敷きになったスヨンを目にしていながらも、一度は助けずに部屋を出てしまう。しかし思い直して戻ろうとした時、スミとばったり会う。
スミに暴言を吐かれたので、ウンジュはせっかくスヨンを助けようと思った気持ちを翻してしまう。
スミはウンジュがいる家にいたくないと、家を出る。
これが運命の岐路になってしまった。

ここからが映画で描かれていない部分だが、↑のあとにスヨンの死が発覚し、ウンジュがそれを知っていながら見逃したことも発覚する。
仮に父とウンジュが婚約していたとしても、ここで破算になっていると思う。
そしてスミは精神的におかしくなり、長期入院を強いられる。

ここから本編がスタート。
ようやく容体が良くなってきたと、父はスミと二人で家に帰る。
しかしこれが1度目ではないことは、箪笥に同じ服が入っていることからわかる。
(父親は何度もスミをもとの生活に戻そうとしていながら失敗しているため憔悴している)

家にはスヨンの幽霊がいて、彼女は死んだことを自覚できておらず、スミと姉妹を続ける。
スヨンはウンジュに殺されたも同然だと憎しみを抱いているスヨンは、心の中にスヨンを虐め続ける継母ウンジュという仮想敵を作り出してしまう。
ハタから見れば、スミがスヨンとウンジュの幻覚を見ている(自分で演じている)状況が発生する。

生理が始まった日が3人同時なのは、実際そこにいるのがスミひとりだから。
父親があまりに不理解に見えるのは、父はスミが頭の中に継母ウンジュというキャラクターを作り出していることが分かっていないから。
母とスヨンの霊が憑りついた屋敷での生活が始まる。
(なので霊的な恐怖体験は、妄想ではなく実際に起ったこと)

叔父と叔母は父親の「スミの様子を見てくれ」という頼みを断れず、ディナーに来てくれた。しかし架空の継母を饒舌に演じる狂ったスミに絶句。
(ここでウジュンを演じるスミが話しているのは精神病棟での話か?)
叔母が発作を起こしたのは、屋敷の呪い?彼女もまたスヨンの霊を目撃する。

本物のウンジュの登場によって(看護婦としてスミを見に来た)、スミの妄想は破壊される。
ウンジュは屋敷のスヨンの霊に取り殺される。
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