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箪笥<たんす>のmatchypotterのレビュー・感想・評価

箪笥<たんす>(2003年製作の映画)
3.4
最近、ホラー率が急上昇中だが、ホラーと韓国、特にこういう精神が蝕まれる系、相性が良いね。
相性が良いというか、淡々とした不気味度がなかなか。

“箪笥の話”。このフレーズ、パワーワード。
怪談やクリーチャー系のホラーではなく、ある家族が抱える闇がその家族に暗澹とのしかかるような。

表向きは何とか前を向いて、やり方変えて、誤魔化して、取り繕って。

そもそもで過去のあれこれで家族の形にすらなってない家族が、“この家”により、それが剥き出しになり、持ち直すどころか、さらに狂い出す。

もはや皆が耐えきれない状況が続き、皆の心の牙城が瓦解する、いや、もう既に崩れ落ちていた。

かなりサイコなホラー作品。
観るの2回目だけど、仄暗さ、不気味さ、曖昧さ、狂気、色んなことが突き抜けてる。

観てるうちに“何が怖いのか”がよくわからなくなってくる。
この家族の過去か、“箪笥”か、父親か、新しい若い母親か、“2人”の娘か。

誰の、何で、誰が、どうなっているのか、どうなっていくのか、どうなってしまうのか。

この作品自体が何かに侵されていて、病んでいるような。
皆が失ったものに怯え、蝕まれる。

不協和音が不協和音を呼び、災難が災難を呼び、狂気が狂気を呼ぶ。

それに皆がそれぞれに飲まれる。
ちょこちょこフラッシュバックがあってネタバラしというか、“すり替え”が正される場面があり、その時に過去のシーンの“真の”恐ろしさが告げられる感じ。

その分、複雑に入り組んではいて、細かいところの回収が少し難しい印象。
だけど、その分、“恐怖”、“狂気”として押し寄せる波というか、飲み込まれる感じに他では味わえない圧倒的な重たいパワーを感じる。

最後の最後まで、何に自分が怖いと感じたか、掴みにくいまま恐れながら観る作品。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
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別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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