ウシュアイア

ジーン・ワルツのウシュアイアのレビュー・感想・評価

ジーン・ワルツ(2011年製作の映画)
2.5
[あらすじ]
帝華大学産婦人科講座の曾根崎理恵は、大学病院で診療・講義を行う傍ら、友人の母親が院長を務める廃院寸前のマリアクリニックで診療を行っている。

マリアクリニックには、不妊治療の末に子ども授かった高齢出産となる妊婦、胎児に先天性異常がみつかり中絶を決意した20代の妊婦、父親となる男に逃げられてしまい中絶を求める20歳の妊婦、そして、どこからどう見ても50代の妊婦、の4人が受診に訪れている。
・・・


[感想]
この作品は医療ミステリと銘打っているいるものの、実際は産科医療の抱える問題に迫ったヒューマンドラマである。

テーマは大学病院のヒエラルキーの問題や産科医不足などにも軽く触れ、一貫して「代理母出産」というものをテーマにしている。あらすじを読んだだけでピンと来た人もいるとは思うが、物語の早い段階で50代の妊婦の謎はすぐに明らかにされており、この50代の妊婦は、理恵の母親で、理恵の子を代理母として妊娠しているのである。

代理母出産は、妊娠のリスクを他人に背負わせていいのか、実際の親子関係と代理母と胎児の関係などの問題を抱えており、代理母が子どもへの錠が強くなり、実際の両親から子を誘拐してしまう、などという話なども過去に作られ、フィクション・ノンフィクション問わず扱われてきたテーマである。

この問題を解消する方法として、実際に行われたのが、祖母による孫の代理母妊娠である。母親となる人の姉妹に代理母になってもらう場合よりもトラブルが少ないというのである。

本作品では、無事祖母による代理母出産を成功させ、しかも、行った医師は制裁を受けることなく結末を迎えている。祖母による代理母出産を肯定しているようにしか見えない。

しかし、祖母による代理出産はそれだけで自然では起こり得ない超高齢出産でリスクは相当のものである。産みたい人に産ませる、理恵のポリシーとして積極的に肯定しているが、賛否両論ある話を強引にまとめてしまうのはどうなんだろう。
(2011年2月28日)
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