湯っ子

ゲット・オン・ザ・バスの湯っ子のレビュー・感想・評価

ゲット・オン・ザ・バス(1996年製作の映画)
4.5
L.AからワシントンD.C.へ。「百万人大行進」“Milion Man March”に参加するためのバスツアー。スパイク・リーのロードムービー。
みな同じ目的を持った黒人男性ではあるが、それぞれ異なるルーツや背景を持つ。時には共に歌い時にはいがみ合い、時には語りあう。閉ざされたバスの中で属性を取り払った人間同士のぶつかり合いが繰り広げられる様子に引き込まれた。
アメリカって大変ね〜、と対岸の火事みたいに眺めてると、不意に「ジャパン・マネーが…」というワードが出てきて、こちらも無傷でいさせてくれないところも良い。誰しも当事者であるということを自覚させられる。
オープニングにスパイク・リーの剥き出しの怒りが込められているようで怯むけど、本作を観ているうちに、彼は道徳的で真っ当で、とてもシンプルなメッセージを持っているのだなと感じる。強い意志を持って、そういう闘い方を選んだのだと思う。
“Do the right thing”のメイヤーがここではジェレマイヤ爺さんとなり、メッセージを説く者として登場する。終盤がちょっとお説教くさかったり、恨みがましかったりするけど、それはきっと、「勉強とかニガテな若いブラザーたちにメッセージを伝えたい!」という監督の強い願いが込められてるからだと思うので、私は支持したい。
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