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ゲット・オン・ザ・バスの一人旅のレビュー・感想・評価

ゲット・オン・ザ・バス(1996年製作の映画)
3.0
スパイク・リー監督作。

アフリカ系の鬼才:スパイク・リーが、ウィル・スミスやダニー・グローヴァー、ウェズリー・スナイプスら黒人の著名人から制作資金を募って1996年に撮り上げた異色のロードムービーです。

本作は、1995年にイスラム指導者:ルイス・ファラカン師が主導した首都ワシントンDCでの黒人男性による100万人大行進デモを題材にした作品で、大行進に参加すべくロサンゼルスからワシントンに向かう長距離バスに乗り合わせた十数名の黒人たちの姿を描いた“社会派群像ロードムービー”となっています。

一応はアメリカ横断ロードムービーという形を採っていますが、劇中の大部分が長距離バス車内での黒人同士の論争や口論を描いた密室シチュエーションの会話劇主体の作劇となっていて、現代アメリカにおける黒人差別や貧困、宗教観、犯罪、暴力、歴史、教育、格差、家族の問題…と多岐にわたるテーマでひたすら論争を繰り広げていく黒人たちの姿を群像的に映し出しています。

如何にもスパイク・リーらしい鋭い切り口で現代アメリカを生きる黒人の境遇と問題を赤裸々に浮かび上がらせた社会派群像ドラマで、本国アメリカでは大行進の一周年記念日に当たる1996年10月16日に公開されました。
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