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たそがれ清兵衛のmendeのレビュー・感想・評価

たそがれ清兵衛(2002年製作の映画)
4.1
2002年制作の時代劇だが、女性の描き方において安心して見られる。
時代劇は特に女性観が古いものが多いし、池波正太郎などの作家にもミソジニックな表現がある。
たぶん山田洋次というより、原作者の藤沢周平のおかげだろうが、20年前の時代劇としては画期的だと思う。

主人公の清兵衛(真田広之)は幼い娘に学問をする意味を説いて学ぶことを奨励する。高圧的な叔父はが「女に学問はいらん」とどなりつけるのと対照的だ。この叔父は後添えの件でも女性蔑視的な発言をするが、そのときも清兵衛は反発している。
ヒロインの朋江(宮沢りえ)は夫の暴力に耐えかねて離縁するが、いつまでも未練がましい元夫(大杉漣)に対してしっかり反論している。町人の祭りにも顔を出し、身分格差についても自分の見解を持って行動している。時代劇によく見られる健気な耐える女、自己犠牲的な女ではない。

また、貧乏の描写に説得力があり(ただ、どんなに貧乏でもちゃんと小者を使っているのもちゃんとしている)、殺陣もかっこいい。田中泯との決闘もすばらしいが、大杉漣との川辺での果たし合いも息を呑む。さすがである。カメラワークなどでごまかしたりしていないし、両者ともに相当な練習が必要なのではないかと思う。

田中泯を抜擢したのも素晴らしいが、キャストがすべてはまっている。
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