新しいヒーロー像。
妻に先立たれ、幼い娘2人と認知症の老いた母を養うため日々粛々と過ごす下級藩士清兵衛。
短刀を携えて臨む、最後の殺陣は見どころ。
山田洋次監督の初めての本格時代劇である今作は時代考証等に一年以上の年月を費やしたもので、黒澤明の娘、黒澤和子氏が衣装を手掛けるなど細部に渡ってこだわりが垣間見える。
派手さはないものの、普段は質素倹約、欲はなく、慎ましく暮らすが、いざとなったら腕が立つ男、清兵衛が魅せる新たな英雄像がとても新鮮であった。
名作の一言に尽きる。
主演の真田広之をはじめ、宮沢りえ、大杉漣、小林稔侍、吹越満といった俳優陣もさすが。
おすすめ。