古川

ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間の古川のレビュー・感想・評価

4.0
中学の社会の資料集に、この伝説のライブとジミ・ヘンドリックスというアーティストについて載っていて、凄く興味を惹かれた事を覚えている。

その数年後、ひょんなことからこのライブ映像を観る機会があり、初めてジミヘンの演奏を耳にした。その時の衝撃は今でも忘れられない。
彼は、自身の兵役の経験から、ベトナム戦争の爆撃機の音や人々の悲鳴をギターで再現し、それをアメリカ合衆国国歌のThe Star-Spangled Bannerに織り交ぜながら演奏したのである。聴いているこちらが息をするのを忘れる程の気迫。
そして、The Star-Spangled Bannerの終了と同時に、ノンストップで急激に転調し、サイケデリックな不協和音を2小節弾いた後に演奏し出したのが、かの有名な彼の代表曲、Purple Hazeだったのである。

The Star-Spangled BannerからPurple Hazeまでの流れはきっと、戦争や抑圧からの解放を意味していたのだろう。
まさに魂の演奏だった。


ジミヘンは27歳という若さでこの世を去り、もう没後50年以上経つが、未だに多くのミュージシャンに多大なる影響を与え続けている。そんな伝説的なギタリストである彼の、特に凄まじいパフォーマンスは、このWoodstock Festival 1969だと思う。
上に挙げたThe Star-Spangled BannerやPurple Hazeだけでなく、Voodoo Childの神憑り的な演奏や、心震える哀愁を帯びたImprovisationも本当に素晴らしい。
音楽に携わっている人も、そうでない人も、1度は観て、聴いて、感じて欲しい。

完全にジミヘンの事だけ書いてしまったが、他のアーティストもソウルフルで素晴らしい演奏を魅せてくれている。
私は生粋のジミヘンファンなので、彼の貴重な、そして伝説的な映像を収めた本作には、敬意も込めて高評価を付けた。
古川

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