マレーボネ

黒い家のマレーボネのネタバレレビュー・内容・結末

黒い家(1999年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

黒い家、おもしろかった〜。

脚本の良さと俳優さんたちの演技が素晴らしく、こわくておもしろいホラー映画だった。

中でも大竹しのぶさんは秀逸で、見せ方によっては単なる「頭のおかしい殺人鬼」になってしまうキャラクターを、恐ろしくも魅力的で畏怖さえ感じる圧倒的に異質な存在として演じられてた。

ストーリーが進むにつれて、
「ちょっと様子のおかしい女(笑)」
「人当たりが良いが旦那に支配されているかわいそうな主婦」
「底知れない狂気を感じさせるヤバい奴」
「凶暴な本性むき出しの殺人鬼」
みたいにいろんな側面を見せてくれるのが超スリリング。

終盤の家探しでは、日本家屋に似合わなすぎる拷問器具がたくさん出てきてドン引き。
あの辺の雰囲気は日本では珍しい関わったらアウトの悪魔のいけにえ風シリアルキラーって感じがしてグッときた。
菰田幸子、やりようによっては貞子・伽椰子と肩を並べるジャパニーズモンスターになっていたのでは。

ただ、全体を通して演出が残念すぎる。
BGMがやたら軽くてポップだったり、内容の深刻さと全く合ってない箇所がたくさんある。

序盤で息子の遺体を見つけるシーンでは、ストーリー的に重要でショッキングなシーンにふさわしく、遺体のグロテスクさはしっかり見せつけているのに、その直後のシーンでは保険会社で安い探偵モノかと思うくらいのいかにもな作戦会議が軽〜いノリで行われてて、かなりチグハグ。

あとところどころ流されるノイズみたいなわざとらしい効果音ね。
まじでダサい。

これは興行作品として多くの人が観やすいように、という配慮とも取れるけど、一本の映画としてはとにかく邪魔で随所で話の腰を折ってくる。

中途半端にオシャレ意識してる気がするんだよな〜。
どうせやるなら終盤の「乳しゃぶれぇ〜〜〜!」→「ヘタクソぉ〜〜〜!」→消火器ブシャーくらいのエクストリーム感がもっとほしかった。
(このシーンはめちゃくちゃ好き)

ストーリーとキャラクターが完璧なだけに、演出が噛み合っていれば、もっともっと怖いホラー映画だったんじゃないかな、と思った。
マレーボネ

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