サマセット7

トイ・ストーリー2のサマセット7のレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー2(1999年製作の映画)
3.8
トイストーリーシリーズ2作品目。
監督は前作に続き「バグズライフ」「カーズ」のジョン・ラセター。
主演として声を演じるのは「アポロ13」「キャストアウェイ」のトム・ハンクス。

[あらすじ]
少年アンディの家で幸せに暮らすおもちゃたち。
しかし、ひょんなことからカウボーイのおもちゃウッディ(トム・ハンクス)が、オモチャ屋のオーナーであるアルに盗まれてしまう。
バズやミスター・ポテトらオモチャ仲間はウッディを取り戻すため、危険な外の世界へ旅立つ!!
一方ウッディは、アルの私室でカウガール人形のジェシーらと出会い、自分が高額で取引されるレアものアンティークおもちゃであることを知らされ…。

[情報]
世界初のCGアニメーション映画、前作のトイストーリーを世に送り出したピクサー・アニメーション・スタジオによる、3本目の長編アニメーション作品。

当初はビデオソフト用の作品として作られたが、出来が良かったことから、ピクサー側から劇場上映を提案して劇場公開に至った。
その経緯が、後にディズニーとピクサーの配給契約上問題となり、両社の関係悪化の原因となった、と言われている。

シナリオは当初ジョン・ラセターの関与なく作られたが、後にラセターが参加して、全面的な改稿に至ったといったエピソードも有名。

製作費9000万ドル。
世界興収4億8000万ドル長。
前作を超えるメガヒットとなった。

今作は前作に引き続き、批評家から絶賛されている。
一般観客の評価も高いが、前作や次作トイストーリー3には及ばないようだ。

[見どころ]
相変わらず、クオリティの高いアニメーション!
ワクワクドキドキのアドベンチャーの中に、大人も考えさせられる葛藤を忍ばせた、ピクサー・クオリティのシナリオ。
過去の名作映画のパロディが多数見られる。

[感想]
楽しく観たが、前作ほどではないかな、という感じ。

アクション、冒険、コメディと質の高さは相変わらずだ。
なんだかんだ、90分ほどの時間、しっかり引き込まれる。

他方、前作に私が最も感心したのは、キャラクターの心情の豊かな描写にあったのだが、今作では、前作ほどのエモさはなかったような気がする。
それだけ、前作が素晴らしかった、ということだろう。

今作では、ウッディの、アンディの家に帰るか、カウガールやプロスペクターらと高級おもちゃとして日本の博物館に行くか、という葛藤が軸となる。
ウッディの中では最初から答えが出ているのだが、彼を引き留めるのは、もう倉庫にはもどりたくない、というジェシーの悲痛な叫びだ。

他方、アドベンチャーやアクションは主にバズらが担う。
バズらのパートでは、スターウォーズをはじめとして、ジュラシックパーク、2001年宇宙の旅などのパロディが満載。
スターウォーズなど、やややり過ぎでクドイ感もあるが、全体としては楽しい。

終盤のアクションの連打の盛り上がりと、エンドロールの仕掛けの楽しさは、前作以上かもしれない。

[テーマ考]
個人的に、このシリーズのオモチャは、会社などの社会に属する人のメタファーと考えている。

その観点から、今作のウッディは、さながら、地元の中小企業で働いていた者が、外国企業から強引な引き抜き工作を受けたようなものだ。
十分幸せな現在地に留まるか、自分の真の価値を評価する新天地に飛び立つか。
ウッディの葛藤は、普遍的なものである。

他方で、子供とあそぶ、という価値と、博物館に陳列される、という価値の相克について、大衆娯楽と芸術作品のいずれをとるか、といったクリエイターの葛藤だ、という観方もあるようだ。

よりわかりやすいテーマとしては、友情、であろう。
全編が、ウッディとバズらオモチャの仲間たちの友情物語となっている。
ラストの感動的な歌唱の歌詞は象徴的だ。

[まとめ]
ピクサーの看板シリーズの、正統進化した第二作品目。
バズのライバル・ザーグや、バービー人形ら、新しいオモチャも楽しい。
好きなシーンは、ミスターポテトが、トラックが迫る中、最後に車道を渡るシーンだ。
これぞサスペンス!!!