教会が所有する高級アパートに入居した女性が、虚実不明瞭な怪異現象に見舞われてしまう。キリスト教における悪魔の概念をモチーフにしている、サスペンス・ホラー映画。タイトルは「監視者」を意味するワード。
「辛いことを忘れるための自傷行為(あるいは自殺行為)」を、悪魔の囁きとリンクさせていく論法。精神的に疲弊している主人公が、実在していない住人たちと交流したり、淫靡な夢想に襲われたり、ポルターガイスト現象を目の当たりにしたりする。
前半部は、虚構と現実が入り混じったアシッド空間を演出していくパターン。そして後半部では、恋人の弁護士視点になり、上階に住んでいる世捨て人のような神父の素性を探るドラマへと転調する。なお、若い探偵役をクリストファー・ウォーケンが演じている。
虚構世界のパートでは、ゾンビ、エログロ、スプラッター、フリークス、暗黒舞踏(のようなもの)が、サーカス団のように勢揃い。すべて「悪魔的ヴィジョン」として演出されたものだが、何となく石井輝男作品の海外人気の理由が分かるような気がする。