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ペルセポリスのsonozyのレビュー・感想・評価

ペルセポリス(2007年製作の映画)
4.0
イラン出身フランスの女性漫画家/イラストレーター、マルジャン・サトラピのイランでの幼少期とヨーロッパでの少女時代が描かれた半自伝的グラフィック・ノベルを、アニメーターのヴァンサン・パロノーとの共同監督でアニメーション映画化。
カンヌ国際映画祭 審査員賞ほか。

1978年、テヘランに住む9歳の元気少女マルジ。
圧政、密告、革命防衛隊の目、空爆、戦争の激化...
男性優位社会での理不尽な抑圧。

マルジはその過酷な恐怖の日々を生き抜きながら、ブルース・リー好きのヤンチャで好奇心旺盛、"Punk is Not Dead"プリントT&スニーカー姿で街を歩き、闇市のおっちゃんからヘビメタ(アイアン・メイデン)のカセットテープをゲットし、部屋で聴きながらヘドバンしたりと、過酷な実体験を皮肉やユーモア交えながら演出しており、何とも魅力的。

フランス語の堪能なマルジは両親の勧めで戦火のイランを離れウィーンのフランス語学校へ。

親の友人宅からシスターが運営する厳しめの女子寮へ移り、パンクな友人達とメタルライブなどを楽しむものの、直情的な性格でシスターに悪態つき追い出され、友人やツテを辿って転々と居候生活に。

その後は、戦火の母国を離れ安全な場所での軽薄な生活への罪悪感、二つの恋愛の失敗の失意、ホームレスのような日々、イラクと停戦した母国への帰国、引き篭もり、うつ病、元気復活、結婚と離婚...未だ続く抑圧と戦いつつ、再びフランスへ旅立つ、まさに激動の幼少期から青年期。

反政府主義者として投獄されてしまう叔父からは社会について教わり、大好きな祖母は良き相談相手であり人生の指南役。この二人の存在の大きさも見て取れます。

マルジが遅刻するからと学校へ走っていた時、街をパトロール中の革命防衛隊の車に追われ「走るとケツが揺れて卑猥だから走ってはダメだ」と警告するというエピソードなど、呆れるクソ男社会イランの実情がそこかしこに。
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