幌舞さば緒

ゴースト・ドッグの幌舞さば緒のネタバレレビュー・内容・結末

ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

読書家という設定、葉隠を崇拝、ドレッドロックスにブリンブリン、全身黒コーデのフォレスト・ウィテカーが格好良すぎるし存在が面白い。マフィアが全員おじいちゃんなところも好き。


台詞メモ

★武士道とは死ぬことと見つけたり。必死の観念。一日を仕切り毎朝心身をしずめ弓、鉄砲、刀に身を裂かれることを思え。大波にさらわれ、炎の中に投げ込まれ、雷電に打たれ、大地震に命を奪われ、千丈の崖から落ち、病に倒れ主の死に切腹する覚悟を日夜自らを死に身と考えるべし。これが武士道というものの本分なり。

一がニになるは悪しきなり。武士道に他を求めてはならじ。これすべての道に通ず。これを悟ればすべてが自ずと解け調和を得られるなり。

武士道の本分とは何か。それはひたすらおのれの心身を主に捧げること。主を思うことが家来の最大の務めなり。

この世は夢と思うべし。悪夢を見た時に目覚めて〝たかが夢なり〟と安堵する。しかし世は悪夢と少しも違わない。

直茂公の御壁書の中に一文あり。〝大事には心軽く対処すべし〟〝一鼎老 曰く、小事には心重く対処すべし〟と。

★「何語を喋ってるの?」「フランス語さ。フランス語だけ」「分かるの?」「おれは英語だけ。一言も通じない」「なのに親友?」「ああ」「おれの親友クマみたいだろう?いい物を見せてやろう。これだ」「クマ?」「当たり、ブラボー!こう書いてある。クマは孤独な動物で〝どんな気候、環境、食べ物にも順応する。仲間づきあいは悪いが食べ物が豊富だと仲間に分け与える。自ら襲いかかる本能はないが怒るべき敵で脅かせたり傷つけると大変危険である〟」「何の話?」「クマだろう。そろそろ行くよ。用事がある」「なんと言ったか分からないが用事があるんだろう」

★「奴だな。撃つぞ?」「あいつじゃねえ、黒人のはずだ」「あいつは?プエルトリコ人か?」「インディアンだろう」「お前、何者だ?」「カユーガ族だ」「カユーガ?そりゃ何だ?プエルトリコ、黒人、インディアン、皆同じだよ」「命令と違う。引き揚げよう。挨拶代わりに一発」「白人のアホタレ」「何だと?」「〝白人のアホタレ〟と言ったんだ」「インディアンのクソッタレ!」「サミー落ち着け。早いとこ引き揚げよう」「カユーガ?」「その口にふたをしてろ。脳天ブッ飛ばすぞ。ファック」

★古老の言葉、戦場で敵を狙う時は鷹が小鳥を狙うように千羽の鳥の群れであれ。鷹は最初に狙った一羽のみを追うなり。

「ドジった。人違いだ」「なぜ分かるんだ?」「カンで分かる」「死ねば天使でハトと空を飛べるさ」

「武士道に従い家来としてあんたを常に敬ってきた」「なのに俺の頭に銃を?」「謝る。恩は忘れてない」

「とにかくお前は標的なんだ。たぶん俺もな」「死なせないよ」「確かに今はお前の方がヤバい」「ルーイ!待たせてすまねえ。色々あって」…「何する!ジョニーを殺るなんて!ソニーの義弟だぞ」「あんたを狙ってた。確かめろ」「もう年はとらねえ」「上向きに」「俺も一緒に殺せ。ボスにどう説明を?このバカ野郎!いいから撃て。俺を殺すんだ」「家来が主を殺すのは武士道に反する」「だったら命令を聞いて早く俺を殺せ」「何のマネだ?」「命令に従った。敬意を込めて撃った。俺が撃ったと言えるだろ?」「用心しろゴースト・ドッグ!お前は正しい。何もかもすっかり変わっちまった。何が何だか分からん」

★「すごいだろ?見ろよ。イカれてる」「美しいぜ」「でもあそこからどうやって下ろす?イカれてる!あいつは天才だ!」「すごい…どうやって下ろすんだ?」「やあ!元気か?いい船だ。出来上がったら雲の海に船出するといい」「俺はスペイン語しか分からない!」

古人 曰く、物事は七回呼吸する間に決断すべし。ひとたび腹を据え一気に突っ切れば道は開ける。

★「あす払わなきゃ警察を呼ぶぞ。3ヶ月分だぞ。情けないマフィアだ!」

★サムライは首を落とされても仕事はしかとやり遂げる心構えをすべし。復讐の念から怨霊(ゴースト)となり決意を固めれば首を落とされても死ぬことなし。

頬紅の粉を携えるべし。眠りや酔いから覚める時、サムライの顔色悪し。かような時は頬粉を顔に付けるがよし。

★殺すと決意した時は、一気に突き進むことが困難に思われてもためらってはいけない。時を待たず一気に事を運ぶのがサムライの道だ。

「これだけデカいクマはもう数が少ねえ。だから見つけた時に仕留めねえとな」「それで殺した…数が少ないから?」「そりゃどういう意味だ?」「このあたりは黒人も数が少ねえ。ご立派な車に乗って消えな」「そうしよう」「何しやがる!膝を撃ったな!」「古代の文化ではクマは人間と平等と見なされてた」「ここに古代の文化なんか」「あるんだよ」

形は無から生まれる。形とは無。これ〝色即是空〟すべての存在は無から成り立っている。無とは形〝空即是色〟いずれても二つで一つを成す。

「街にはポリがいないのに郊外に出るとゲシュタポ野郎がウヨウヨ。同じ国とは思えねえ」

★「正気か?女を殺るなんて」「お前が性差別主義のブタとは知らなかったぜ」「おれが性差別主義のブタ?女を撃った」「ポリだ。ポリを撃ったんだ。男女平等だろ?男のポリと平等だ」

★一瞬を思う一念、それのみが大事なり。一瞬一瞬を重ねること、それが人の一生なり。その大事を悟ればもはや他に行うべきことはなし。

★〝大雨の戒め〟ということあり。にわか雨に出会い、濡れまいと急ぎ走り出す。しかし軒下などを伝い走ってもやはり身は濡れる。最初から濡れる心構えあらば濡れても苦にならず。これ世の万事に通ずる心得なり。

★〝時代の魂〟というものは過ぎては掴みえぬ。その勢い弱まりたるは、世の末を意味するなり。さらば今の世を百年以上も前の風に変えたくともならざることなり。その時代を生きることなり。

★「ゴースト・ドッグ、力と平等を!」「すべて熟知、マイ・ブラザー」

★「何も心配するな。すべてに摂理がある」

★「サムライは主に忠を尽くさねばならない。何があろうと。しょせん俺も奴も古い流れに生きてきて互いに今は絶滅寸前の人種なのさ。でも時には古い流れってのもそう悪かない。分かるだろ?君なら分かる」

★「6つの短編、面白かったわ。昔の日本ってヘンな国ね。私が一番気に入ったのは最初の話。同じ出来事が人によって違う話になるの。面白かったわ」「藪の中、俺も一番好きだ」

上方には花見の重箱と言うものあり。花見の一日にこれを用い、用が済むと足で踏みちらし捨つるなり。万事、最後が肝要なり。
幌舞さば緒

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