デニロ

関東無宿のデニロのレビュー・感想・評価

関東無宿(1963年製作の映画)
3.5
1963年製作公開。原作平林たい子。脚色八木保太郎。監督鈴木清順。

松原智恵子(18歳)、進千賀子(19歳)、中原早苗(28歳)がセーラー服で登場する冒頭シーンにちょっとめまいがしてきます。そんな時代もあったねというところだろうか。時は昭和38年。そこに着流しの小林旭が登場。カッコいいじゃない、とセーラー服の中原早苗。松原智恵子は博徒の娘で、小林旭はその博徒伊豆組の代貸。うら若き乙女とすれば小林旭にホの字になっても致し方ないのだけれど、無論旭は歯牙にもかけません。同じ高校生とはとても思えない中原早苗が美人局からやくざに騙されて売り飛ばされるのだが、あっけらかんとしたものでわたしの天職はこれなのね、と言った風情。最後には松原智恵子のお父さん殿山泰司の愛人にまでなってしまいます。いや、この辺りはあまり本筋ではありません。

いかさまというのか芸の一つというのか、花札勝負でシガレットケースや寿司の醬油皿で絵札を確認するとか、そのいかさま師夫婦の女房伊藤弘子に横恋慕して、奥さん、堪忍して下さい!と押し倒して思いを遂げる小林旭がなかなかにいかがわしい。伊藤弘子も不能の夫(多分)に構われていなくて満更でもなさそうにその後も振る舞ったりしてなかなかのものです。でも、この辺りも本筋とは関係ありません。

本筋?本作にそんなものがあるのかどうかわかりませんが、旭は親分の命でライバルの組といざこざを起こします。そこで描かれるのが鈴木清順と木村威夫が彩る障子の外連。見せ場はこれなんでしょう。

旭の眉が太くて笑えます。

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