ともぞう

夜來香(イェライシャン)のともぞうのネタバレレビュー・内容・結末

夜來香(イェライシャン)(1951年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

夜来香は、甘い香りを持つ花をつけるガガイモ科の植物。70年前の作品だから仕方ないとは思いつつ、芝居が臭い。当時、上原謙は42才。40超えたおっさんが無駄にピュア。目が見えなくなってメソメソ。最後は呆気なく汽車に轢かれて亡くなってしまう。線路には一輪の夜来香でおしまい。

〈あらすじ〉
関と矢吹秋子とは、華北の戦線で、日本軍の敗退のどさくさ時に初めて逢ったのであった。関は軍医として、秋子は慰安婦としてであった。二人は夜来香の強い香りにつつまれて、夢のような二夜を共に過ごした。やがて終戦となり、五年の月日が流れた。関は神戸の製薬会社に働いていたが何故か秋子のことが忘れられなかった。旧部下小田切利夫の家が町の医院であったので、関はよくその家を訪ねたが、当の利夫は、看護婦亀山千代の兄で闇ブローカーをしている連吉の手伝いをしていて家へはほとんど寄りつかなかった。しかも千代は、利夫を愛し、その子供を妊ごもっていた。連吉は、関をも自分の一味へ引き入れようとしたが、戦地で負った傷が原因で、関の眼は次第に失明しかけていた。そうしたある夜、あるレストランで関は秋子と再会したが、精神的な疲労とショックが激しかったため、関はその場に倒れ、秋子のアパートへ運ばれ、彼女の看護を受ける身となった。しかし、秋子が関の治療費を捻出するため身を売ろうとしていることを知ると、彼は秋子の許を去って行方不明になった。一方、利夫は闇売買で警察に留置されたが、関はそれを知って連吉を訪ね、彼の仕事を手伝う條件で利夫の保釈金十万円を出させた。しかも亀山はその金を自分の好意で出したと見せかけ計画した兵庫駅の抜荷に利夫をも引き込んだ。それを知った関は利夫を引きとめようとして兵庫駅構内へ駆けつけ、失眼の身を突進して来た列車にひかれて死んだ。そのあとに、押し花にした夜来香の花が落ちていた。
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