柩

陽炎座の柩のレビュー・感想・評価

陽炎座(1981年製作の映画)
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「3度お会いし、4度目の逢瀬は恋になります。死なねばなりません、それでもお会いしたいと思うのです。」本当に素晴らしかった!美妙幽玄な清順美学の横溢。どこを止めても絵になるエロティックな構図やカットから繊細な美意識が感じられた。陽炎のように現実が揺らぎ、生と死の曖昧な狭間に迷い込む。仄暗い日本的な風景を着物姿で滑るように行く女たち。まるで甘美な白昼夢を見ているかのような現実離れした感覚に酔いしれる。心中劇から逃れ辿り着いた奇々怪々な芝居小屋、刃傷沙汰を描いた血腥い無残絵。情痴の果ての愛憎の恐ろしさがこれでもかと描かれていた。特に印象に残ったのは水面に沈む真っ白な品子の口から鬼灯が立ち上る場面で清順監督の力量に圧倒させられた。とても好みだった作品。
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