南宮龍八

リメンバー・ミーの南宮龍八のネタバレレビュー・内容・結末

リメンバー・ミー(2000年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

同じ時期に製作されたファンタジックな韓国恋愛映画「イルマーレ」(2000)は手紙による交流が時空を超えて愛を育む物語だが、この「リメンバー・ミー」も異空間に生きる男女が交流するという点では同じである。ただ「イルマーレ」と違うのは、互いの交流アイテムが無線機に変わったことと2人の関係が恋愛にまで発展しないところ。また一応のハッピーエンドを迎える「イルマーレ」と違い「リメンバー・ミー」は運命は変えられないという定義に基づいて展開される切なくて悲しいストーリーなのである。原題は「同感」。それは慎み深く切ない主人公ソウン(キム・ハヌル)の秘めた想いなのだ。肉体的に繋がるものだけが愛ではない、そう感じているのである。成就されなかった愛に浸る、それは非常に屈折的な感情と受け取られるが、これこそ韓国映画の得意とする恨/ハンを解く愛ではないかと思う。過去と未来を繋ぐことになったあの無線機はソウンに残酷な運命を突きつける。しかし、ソウンはその運命を受け入れることで肉体を超越した真実の愛を感じていくのだ。例え愛する人が傍にいなくても、彼と同じ喜び、同じ哀しみを感じることでソウンは生きていることの幸せを感じるのである。

08/10/10
南宮龍八

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