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家族の肖像のKKMXのレビュー・感想・評価

家族の肖像(1974年製作の映画)
2.5
 格調高いけどごちゃごちゃしたガーエーでした。孤独の問題・世代の問題・政治問題等いろいろと詰め込まれているので、密室劇でありながらボリューム満点でした。

 家族の肖像画ばかり買い集めている孤独を好む老教授のもとに金持ちの夫人とその愛人、娘と娘のフィアンセがやってきて、なんとなく家族っぽくなる話でした。
 とはいえ、老教授が夫人の愛人コンラッドに抱く恋愛っぽい感情が本作の中核になっているように感じています。

 教授が家族を求めているのは明白ですが、リアルな触れ合いには恐れを抱いている様子。結婚に失敗した過去があり、その辺にトラウマがありそうです。
 はじめは夫人をはじめとするやかましい連中に辟易していましたが、夫人の愛人である知的でありながら破滅的な美青年コンラッドに惹かれて行きます。その恋心はロメール与太郎っぽい「セクロス!セクロス!」みたいな性欲丸出しのアホなものではなく、老人から若者への継承感が伝わりました。恋した若い相手に自らが得てきた何かを伝えたい…教授はそんな気持ちを抱いていたのではないかと感じます。とはいえ、単なる後継者を求める思いだけではないのは伝わりますね。傷ついたコンラッドちゃんを甲斐甲斐しく世話した〜い💕みたいな萌え感もなんか透けて見えました。

 一方、コンラッドは誰も自分を理解しないと思って破滅的に生きてます。教授とは精神的につながりつつあり、コンラッド自身も特別な何かを抱いていたようですが、まともに生きるには手遅れって雰囲気でしたね。だからこそ、その破滅的な耽美性に教授も夫人もホの字になったのかも。

 夫人の娘のファザコン感もなかなか切なかった。夫人の虚無感故の苛立ちはやかましいため観ていてしんどかったですね。娘のフィアンセもなんだかいろいろ思うことありそうでしたが、こちらのキャパオーバーのためよくわからず。

 とりあえずみんな孤立して生きていて、登場人物同士に精神的なつながりは基本見られません。とはいえ、人と人とがぶつかり合うメンド臭さに教授は手応えと感銘を受けたようでした。だからといって、このような薄い関係に家族を見出すのは「え〜マジで?」って感じ。恋するコンラッドがいて、ファザコン娘に父親っぽく慕われたからそう思ったのかもしれませんね。


 ヴィスコンティは2作しか観てないですが、自分しか見ることができなかった人たちの後悔が描かれているなぁと感じています。人は往々にしてそのような側面から逃れきれない。だからこそ彼の作品からは(2つしか観てないけど!)生きる哀しみが伝わってきます。
 ただ、個人的には哀しみを超克したい派なんですよね。メソメソで終わらず、後悔と向かい合って壁を乗り越えますが何か的なガーエーの方が好きなんですよね〜。自分がそうやって生きていたいから。
 なので本作はまおもってところです。『夏の嵐』と違って好みの美女が出てこなかったし!イケメンに関心ゼロなのでコンラッドの良さもよくわからず。好きなテーマじゃない時は、自分にとっていかに好みの美女が出演してるか否かが大事なことがわかりました!


 絵面も相変わらずの格調の高さでした。『夏の嵐』に比べると絢爛さよりも落ち着いた高級感が前面に出ているような印象です。音楽もクラッシックばかりでなく、乱交パーティーの時のイタリア歌謡曲もなかなかシビれました。


【追記】
 ヴィスコンティ大嫌いになったため得点大幅に下げました。当時の俺が感じていた生きる哀しみは、これ、俺の感覚がショボかったね!クソ貴族は哀しみに陶酔しているのだと思います。後悔とかも滅びの美学とやらでオナーニするためのネタでしかない!ゲェ〜☠️
 格調高いのもクソむかつきますね。金持ちをひけらかすようでクソだと思います。あ〜くだらねぇ!
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