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家族の肖像のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

家族の肖像(1974年製作の映画)
4.0
現代貴族のデカダンスを根底に、家族が崩壊した知識階級の老人が、若者と理解し得ない現実に苦しみ、孤独のまま敗北して死んでいく姿を描いた、ルキノ・ヴィスコンティ監督自身の鎮魂歌。
本国イタリア公開題名は、Gruppo di Famiglia in un Interno。(英) Conversation Piece (1974)

ローマの中心部の豪邸に住む老教授(B・ランカスター)は〈家族の肖像(Conversation Piece)〉と呼ばれる18世紀の英国の画家たちが描いた家族団欒図のコレクションに囲まれて静かな生活を送っていた。
ある日突然やってきた有閑マダムのビアンカ(シルバーナ・マンガーノ)が、愛人の美青年コンラッド(ヘルムート・バーガー)のために2階を強引に借りて、娘のリエッタ(C・マルサーニ)とその婚約者ステファノ(S・パトリッツィ)と一緒に住みついてしまったことから、教授の生活は一変する。
やがて、家族を意識するようになった教授は、彼らを夕食に招待するが、擬似「家族」はあっさり崩壊する。
心を通わせたかに見えたコンラッドも…。

教授の記憶の中に現れる幼い頃の母をドミニク・サンダが、別れた妻をクラウディア・カルディナーレが、共に"端役"で演じている。

「人間の中で暮らすと、人間を考えなければならない。巻き込まれて苦しむはめになる」

「美しきものは追い求めよ、少女であれ少年であれ抱擁せよ…性の生命は墓に求めえぬゆえ」(オーデンの詩)
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