大道幸之丞

ミミックの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

ミミック(1997年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

「シェイプ・オブ・ウォーター」「パシフィック・リム」で成功したギレルモ・デル・トロ第2回監督作品。

「シェイプ・オブ・ウォーター」や「パンズ・ラビリンス」で醸し出される
ヌメヌメとした気持ちの悪さ、彼の美学の原点的作品。傑作である。

『ミミック』とは“擬態”の意。

近未来マンハッタンではゴキブリを媒介とする伝染病“ストリックラー病”が蔓延し子供たちの生命を奪っていた。有効な治療法がないこの伝染病に政府が依頼したのはアメリカ疾病予防管理センターで、遺伝子操作によりカマキリとアリのDNAを掛け合わせた“ゴキブリの天敵”「ユダの血統」を人工的につくり放った。安全装置として120〜180日で死滅するように遺伝子操作されていた。

効果はてきめんで、ほとんどのゴキブリが死に絶え“ストリックラー病”も収束に向かった。

——そして3年後、マンハッタンでは路上生活者が次々に消え去る事件が起こっていた。それらの現場では決まってマントを羽織って立ちすくむ男たちの黒い影が何かを暗示させるかのように登場する。

「ユダの血統」に関わったアメリカ疾病予防管理センターのスーザンは彼女が昆虫研究者であることを知る子供たちが採集した昆虫を売り込みにスーザンの元を訪ねていたが、その中に死に絶えたはずの「ユダの血統」の幼虫らしきものが混じっていた。

スーザンが調査すると「ユダの血統」は変異を起こし生き延びている事が判明、子供達が幼虫を見つけた地下鉄構内を調査するが、その流れで地下鉄ホームの奥にマントを羽織って立ちすくむ男の影を見つけた。

スーザンが近寄るとマントと思っていたモノは巨大な羽で、人間に似せたマスクも持ち手部はカマキリ、体全体は働きアリの姿で、羽ばたいて襲いかかってくる。彼らは3年で独自進化し人間に擬態し生き延びていたのだった。

地下鉄構内には彼らの孵化寸前の卵がみつかり、夥しい成虫も潜んでいた。外に逃がしてしまうと街中に巣を作ることになる。スーザンとピーターの両博士と駅員のレナードで彼らを駆除するために構内で決死の戦いが始まる。

——とにかく気味悪く恐ろしい。マントの男の影の謎がわかり始め判明した時の驚きがある。天敵対処は農業の世界では実際に行われ珍しいことではないので、設定も飛躍して感じない。

人間が知恵を凝らしてDNAを操作しても生き物の命は人間も思うままにはいかないという警鐘も込められている。


あと観て勘違いしてる人が多いが怪物はカマキリとアリのDNAで作ったモノでゴキブリではない。字幕ぐらいちゃんと読んだらどうだろう。