久保田靖史

北の螢の久保田靖史のレビュー・感想・評価

北の螢(1984年製作の映画)
2.0
 19世紀後半・明治期の北海道空知に実在した刑務所「樺戸集治監」と刑務所長(典獄)、強制労働に苦しむ囚人達、周辺にある女郎屋の女達を描いた映画です。
 北海道育ちの私は、北海道の道路は昔の囚人達と連行されて来た朝鮮人の犠牲によって拓れたと教わって来ましたが、そのうち囚人達の方の悲惨な様子がよくわかります。
 また実在の典獄で現在の町名(月形町)にもなっている月形潔。映画では仲代達也が演じ、受刑者の命を軽視した極悪人として描かれてますが、これに対しては月形町長が町議会で批判したり、月形潔の孫が東映に抗議を申し入れたそうです。幸い私は近くに住んでますので、近く月形町の資料館を見学して事実を知りたいです。
 映画としての出来も良くないと思います。極悪の典獄がいつしか正義?のヒーローみたいな扱いになってたり、最後まで監督の視線が定まらないと云う感じ。登場人物の誰にも感情移入出来ないまま時間が過ぎます。そして急に羆が襲いますが「北海道だから熊」と云う安易な発想が見透かされて興醒めします。途中に入る森進一の主題歌も歌とバックの映像がシンクロしません。岩下志麻、夏木マリ、早乙女愛のヌードと濡れ場鑑賞は観る価値ありだと思います。
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