CANACO

ゴッドファーザーPART IIのCANACOのレビュー・感想・評価

ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)
3.8
アメリカでは1の2年後の1974年に公開。父ヴィトーがドンになるまでの物語と、二代目を継いだ三男・マイケルの物語が同時に進む、200分(3時間20分)の超大作。

二人の物語を交互に見ることで、運命、あるいは血の“糸”の強さを感じさせる。
もともとどちらもカタギだったが、マフィアによって家族を失う。家族愛が強く、奪われた悲しみと憎しみを決して忘れない人間。常に冷静だが行動は大胆。計画は緻密で計算高い。最も濃く血を受け継いだのはマイケルで、コルレオーネ家を任せられるのは彼しかいないとあらためて認識する。

しかし、右肩上がりのヴィトーに対して、マイケルには困難と苦悩がともなう。
ソニー、フレド、マイケル(のちにコニー)を育てながら街のお困りごとを解決する、“気のいい兄さん”の顔を見せるヴィトー。対して常に張り詰めた表情を見せる“冷徹なボス”マイケル。
家族の絆においても、歳を重ねるごとに太く強固になるヴィトーと、糸がもつれて切れ切れになるマイケルとの対比が描かれる。家族を愛し、愛されるヴィトー。愛しているのに家族が離れていくマイケル。

絵巻物のように長くボリュームのある世界を、各時代にタイムスリップしたかのようなリアリティで描き出す。圧倒的な演出と撮影力。その中で浮き彫りになるのはマイケルの孤独で、どうしようもなく胸に迫る。なぜ彼は失い続けるのか。ニーノ・ロータの音楽とともに、悲愴にまみれた「因果」という言葉を噛みしめる。
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