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サイレンスのsonozyのレビュー・感想・評価

サイレンス(1998年製作の映画)
5.0
モフセン・マフマルバフ監督作。今作も素晴らしい。

盲目の少年コルシッドは、戦争でロシアに行ったきりの父親を待ちながら、母親と川沿いの貸家に暮らしている。
稼ぎは楽器の調律師として働くコルシッドにかかっているが、大家から滞納している家賃を月末までのあと5日以内に払わないと放り出すと言われている。

コルシッドがバスで通う楽器屋の親方の元で暮らす娘ナデレーはコルシッドをサポートしているが、音に敏感なコルシッドはバスの中での話し声や楽器の音に気を惹かれてしまい、つい途中下車しちゃうので、遅刻の常習犯。(ナデレーからは乗車中は指で耳をふさいで音を聞かないように指示されているが、コルシッドはつい指を外してしまう。)

いよいよ親方にクビにされてしまうコルシッドは、楽器を美しく奏でてついて行った男性に救いを求める。。。

パンや果物を売る女性たちが並んでるシーンや女性の唇のアップなどの印象的なシーン。
ナデレーは、コルシッドの調律に合わせて踊ったり、さくらんぼを耳にかけてイヤリング代わりにしたり、花びらを摘んで詰めに貼ってマニキュア代わりにしたり、三編みおさげも民族衣装も可愛い!(このジャケットの後ろ姿の子です)

家賃を催促にくる大家のドアノック音「ドンドンドンドン!」を、ベートーヴェンの『運命』の「ジャジャジャジャーン」に置き換えているのも絶妙。

お母さん、コルシッドに依存しすぎ問題(あまり釣れない釣りをして、隣の釣り人に生活苦を訴える程度で稼ぎはまだ幼い息子に任せっぱなし)はありましたが。笑;

モフセン・マフマルバフ監督の初期作、U-NEXTあたりでまとめて扱ってくれませんかね〜。

ヴェネチア映画祭:
CinemAvvenire Award
Sergio Trasatti Award - Special Mention
The President of the Italian Senate's Gold Medal

※英語字幕にて。
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