Jordan Peeleの"Get Out"の解説でよくリファレンスに上がってたけど初めて観た。
タイトルとゲットアウトのリファレンス的に不穏な映画だと思いこんでたら、全然不穏じゃないやん!!!!
私大好物系の映画だった🥺❤️
原題は"Guess Who's Coming to Dinner?"(誰をディナーに呼んだと思う?)という、「楽しみにしててね!」ってニュアンスで使うフレーズで、両親の期待とそれを「裏切る」思わぬ来客が来る映画をうまく皮肉っている面白いタイトル。邦題は、英語より不穏さが増し増しになってしまったが笑、ニュアンスは原題からキープしていていい邦題。ちなみにオリジナルポスターはイエローでポップな感じで、ポスターにもこの差が表れてるように思う。
観終わるとさらに驚くけど、なんと1967年の作品。60年代といえばアメリカでは公民権運動(黒人解放運動)の頃。
この時代にこの題材を、しかもこれだけのクオリティーで製作してたのすごいし、今の時代にも全く色褪せることない(ある意味悲しいことではあるけれど…)脚本が本当に素晴らしい。
題材やキャスティングのすごさはもちろんなんだけど、何より、映画の90パーセント以上が一軒の家の中で進行する、つまり、濃厚な群像劇。舞台にしやすそう🎭笑(もうなってるかな?)
ってことで、演技力とセリフがモノを言うんだけど。
とにかく、リベラルと言いながら、いざ自分がこういう状況に置かれた時、牧師のように本当に偏見なく接することができる人なんて、この映画から50年以上経った今でも、果たして、いるのだろうか?という、いつまでも消えない人間の難しさは、本当に悲しいけど時代を越えるし、おそらく永遠になくならないのかもしれない。自分も含め、お父さんみたいな反応が、少なくとも心の中で巻き起こる人がほとんどではないか。黒人に対してというより、自分が、意識的にもしくは無意識的に偏見を持つ相手に対して。
この映画の素晴らしいところは、
・ファーストインプレッションの明らかな戸惑いという「本音」
・取り急ぎ形だけは受け入れてみる母の葛藤
・母のように柔軟にしたいがどうしても抵抗が拭えず、そんな自分と葛藤する父
・葛藤どころかはっきりと差別側に回る者(ヒラリー)
・葛藤すること自体が差別であると軽蔑できる領域に達している者(ジョーイと牧師)
色んな立場や価値観、そしてそれぞれの葛藤を少しずつグラデーションで描く丁寧さ。
人間はnot one dimentional(多面的である)というところを、本当に上手に、嘘なく描いていく。
設定を考えたであろう監督も、
文句なしの脚本も、
揺れる心や変わる立場を絶妙に表現した役者たちも、
とにかくみんな素晴らしかった…。
ジョンのお母さんと、ジョーイの父のやりとり、そしてそれを受けた最後の父のモノローグには、涙からの拍手喝采👏👏
今の世の中に通じるテーマに、
今も通じるジョーク?もたくさん散りばめられていて、シリアスなテーマなのにすごい笑いながら観た。
何度でも観たい名作。本当にいい映画を観た🥺✨✨✨✨