上原正祐

エドワード・ヤンの恋愛時代の上原正祐のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

 広い都市についての映画であるが、一方で、とても閉塞感が伴う狭い人間関係の映画だ。
 前作のクーリンチェから打って変わって、トレンディドラマで、コメディタッチで本作は描かれるが、根底にあるのは、閉塞感と人間不信、絶望だ。勿論、それは最後に示される希望と表裏の関係にある。
 邦題は『恋愛時代』だが、これはちょっと不誠実な邦題で、原題の『独立時代』というのが、この映画を読み解くヒントになる。この群像劇が隠喩としては、ラストにかけてあることをやってしまうミンの独り言の意味で分かる仕組みになっているように思う。
 エドワード・ヤンは、やっぱり絵をカチッと決めるのが誰よりも上手い。エドワード・ホッパーのように都市を切り取る。誰の視点かは曖昧な、盗み見るような視点。背景にある窓ガラスや、テレビ、ポスターが、起きている出来事の対比、都市の引き裂かれとしてある。
上原正祐

上原正祐