なお

007/慰めの報酬のなおのレビュー・感想・評価

007/慰めの報酬(2008年製作の映画)
3.4
007シリーズ第22作。
現代の”Quantum of Solace”は直訳すると「慰めの分け前」。

最愛の人・ヴェスパーを失い復讐に燃える自分。
スパイとして組織の命令に従いミッションをこなさなければならない自分。
相反する面を持つ二人の自分との葛藤と相対しながらも、またも世界を救わんとするボンドの活躍を描く。

ちなみに、本作の作品時間は106分と、シリーズ中最も短い。

✏️前作のその後
前作『カジノ・ロワイヤル』のその後を描いた「続編」としての色が非常に強い作品。
これまでの007シリーズは基本的に単発作品(過去作の登場人物が再演するという展開はあったが)であった中で、この『慰めの報酬』の扱いはかなり異例。

本作におけるボンドの精神状態や立ち位置も前作での悲劇を完全に引きずっていて、どちらかというと「組織のために」というよりは「ヴェスパーの命を奪った元凶を暴き出す」という点に重きを置いている。

組織やMの命令を基本的に無視して、かつ事件のカギを握っていそうな重要人物でも容赦なく殺害してしまうモンだから、当然組織からの支援は受けられなくなる。
かつて『消されたライセンス』や『ダイ・アナザー・デイ』でも描かれたことのある「孤立無援なボンドの戦い」を楽しめる。

物語冒頭の重く響くエンジン音とともにお届けされる迫力満点のカーチェイスや、中盤の空中戦、終盤の炎燃え盛る中でのアクション・シークエンスは見ごたえあり。

✏️ストーリー
物語はいまひとつ印象が薄く、意外性にも欠ける。
特筆すべきところがないというか…

また、007シリーズおなじみの登場人物であるQとマネーペニーが本作も不在なのは個人的には寂しい。
ボンドガールとのおアツい絡みも実に控えめで、ベッドシーンすら存在しない。

☑️まとめ
一連のアクションシーンは驚きの連続。
思わず画面を凝視してしまう魅力があるが、肝心のストーリーが微妙。

ちなみに、本作で取り上げられた水資源を巡るドミニクらの策略は、ボリビアで起こった水道民営化とコチャバンバ水紛争という実際の事件をモデルにしている。

こちらのことをあらかじめ知っておくと、さらに本作を楽しめるかも…?

<作品スコア>
😂笑 い:★★★☆☆
😲驚 き:★★★★★
🥲感 動:★★★☆☆
📖物 語:★★★☆☆
🏃‍♂️テンポ:★★★☆☆

🎬2023年鑑賞数:13(4)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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