ダイナ

悪魔を見たのダイナのレビュー・感想・評価

悪魔を見た(2010年製作の映画)
3.4
婚約者を惨殺された刑事が殺人鬼に苛烈な復讐をしかけるバイオレンス。痛い表現に凝る韓国ノワールの良い所が詰まっていて、ダークな雰囲気が良いR18作品。

イ・ビョンホン演じる刑事がチェ・ミンシク演じる連続殺人鬼を殺す寸前で解放する訳ですよ。「苦しみ続けろ。いたぶってやるからよ」の精神でキャッチ&リリースを繰り返す所が他の復讐系と一味違う興味深さを秘めていて、その意気やヨシ!な訳ですが。解放された後、善良な看護婦さんが犯されかけるわ一般人が殺されるわで「主人公の見逃しで犠牲者増えてる」感じがモヤっとします。痛めつけて、手当てして、解放、というプロセスも本人に効いてる感じがあまりしないし、この流れで話を進めるにあたって、殺さない手心があったとしてもまともに歩けねえだろなダメージ食らっても体力値カンストしてる?と思うぐらいの悪魔的タフネスさで復活する殺人鬼、死の間際に追い詰められる度に凶悪さが増していく。サイヤ人か何か?

後半はもう良くも悪くも滅茶苦茶な広がりを見せてくれて、クライマックスはハッピー・バッド以前にそれでいいのかいというモヤモヤ感。残酷描写(殺し屋1的な「肉」を苛める痛さは良い!)は目を見張る程good。他を顧みない怒りの中での視野狭窄感への注目は良かったです。

ただスーパーヒーローアクションほどスタイリッシュでなく、現実的すぎて単調でもない戦闘描写が泥臭く痛々しくスピード感抜群な対人戦だけは良くて、ビニールハウス戦とか凄い良かったです。チェ・ミンシクとイ・ビョンホンが泥臭く闘ってたらそれだけでもう眼福なんだよなぁな一作。
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