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悪魔を見たのびのレビュー・感想・評価

悪魔を見た(2010年製作の映画)
5.0
見た直後は消化し切れず(というよりあまりの胸糞さに放心して記憶から消していた)が、時間が経つにつれ、もしかしたらとんでもない傑作だったのではないかと思えてきた。まだまだ消化し切れてないが傑作。
役者をほんとうに信頼していないかぎり決して撮れないであろう顔のクローズアップの数々に感動。チェミンシクに恋人を殺されたイビョンホンが復讐を試みるも、次第に当初の目的から逸れ、自分のエゴのために暴力を振るい、誰のための復讐なのか曖昧になりはじめる。もしそれが無自覚であれば不幸中の幸いだったが、イビョンホン自身がその自分本位な暴力性をしっかり自覚しているのがあまりにも辛すぎる。「誰がほんとうの悪魔なのか?」という問いに対してアンサーと言わんばかりにカメラはイ・ビョンホンの表情を執拗に捉えているのが最高。
復讐のシナリオ自体かなり良く出来ていて、韓国映画すげーーと感心してしまったが、vs無敵の人というのはあまりにも分が悪すぎた。ラスト、こういうのが試合に勝って勝負に負けたってことなんだろうな。
び