FilmholicMan

悪魔を見たのFilmholicManのネタバレレビュー・内容・結末

悪魔を見た(2010年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

悪魔を見た。

そのタイトルを見たとき、
悪魔とは誰を指すのだろうかと考えた。

冒頭から連続殺人鬼ギョンチョル(チェ・ミンシク)の殺戮行為を目の当たりにし、観客はその残虐極まりない人格に1ミリたりとも同情する余地のない人物であることを確認する。

この凶悪犯こそ悪魔だろう。
そう考えるも束の間。

婚約者を殺された刑事スヒョン(イ・ビョンホン)が容疑者たちを次々拷問し、犯人のギョンチョルに辿り着く。

スヒョンはギョンチョルをボコボコにした上で、GPSカプセルを飲ませるとその場を立ち去る。

ギョンチョルが新たな罪を重ねようとするたびに、スヒョンが現れては私刑を下す。

ギョンチョルへの私刑の惨さから
もしかしたらこのスヒョンこそが悪魔なのでは、とも我々は考え始めるだろう。

ただ、最後まで見終わった時点で、
タイトルにある悪魔とは観客である我々自身だろうと感じた。

殺るか殺られるかの狩りに似たこのキャッチアンドリリースを、気づけば夢中になって追いかけて、それに対して時には爽快感を覚えている。
認識もせず、楽しむ傍観者である我々こそが悪魔なのでは。

主演2人がとても素晴らしかった。

チェ・ミンシク演じるギョンチョルは稀代なサイコキラーとして映画界に名を刻んだこと間違いなし。

ぜひ最後まで観てほしい。
FilmholicMan

FilmholicMan