健一

復讐するは我にありの健一のレビュー・感想・評価

復讐するは我にあり(1979年製作の映画)
4.7
1979年。 🇯🇵映画 カラー作品。

第3回日本アカデミー賞
最優秀作品賞、
最優秀監督賞(今村昌平)
最優秀脚本賞
最優秀撮影賞
最優秀助演女優賞(小川真由美) 受賞。

『悪人に報復を与えるのは神である。』

WOWOWで放送していたので録画して深夜に鑑賞。
上記の通り🇯🇵アカデミー賞を受賞した有名な作品ですよね。
何で今まで観てこなかったのだろう。
何の予備知識もなく頭真っさらの状態で鑑賞。
いやぁ。凄い衝撃!怖かったぁ。
こんな すごい映画だったの?
40年以上も前の作品だが 今の年齢位になっての鑑賞でちょうど良かったのかも? とも思う。
若い頃にこの作品を観ていたら影響されて恐らく殺人鬼になっていたな、私。(笑)

5人を殺害した『西口 彰 事件』を題材にした原作を映画化。
榎津 巌 (えのきづ いわお)。
カトリック信者で詐欺師にして 女性や老人を含む5人を殺害した連続殺人犯。
延べ12万人に及ぶ警察の捜査網をかいくぐり 78日間の逃亡生活の末 熊本で逮捕され 43歳で処刑された男の人物像に迫る。

まさに時代が生んだ、環境が生んだ鬼!
これ 実話 だったの?
昭和という恐ろしい時代。
大戦前のカトリック信者への弾圧、荒れた家庭、荒れる子供。そして覚醒する 鬼畜!
一人殺し また一人殺す。
老人だろうが 女性だろうが関係なし。
とうに罪悪感は消え失せ ためらいもなく男は殺し続ける。
男は 狂っている。
だが 世間は男の異変に全く気付かない。
何故か?
周囲の人間も その周囲の人間達も 世の中も狂っているからだ!
人々は 堕ちていく。
朝から晩まで働き詰め。他人を気遣う余裕など無い。
だが 身体は疼(うず)く。欲望を求める。
愛ではない。何かを満たすため。
人々は 堕ちていく。
その何かに 男が漬け込む。
もはや 人間ではない。

少年時代だったとは言え 激動の昭和という時代を肌で感じてきた私にとって なんとも 痛く 刺さる作品でした。

今村昌平監督の仕事っぷりにはアッパレとしか言いようがない。
この作品を生み出した勇気には大いに敬意を表したい。
緒形拳さんはもう完全に『殺人鬼』。
『演じる』なんて枠を大きく越えている。
拳さんの『炎』に対して 父親を演じた三國連太郎さんは『氷』の演技。
この炎と氷の演技合戦は圧巻!お互い一歩も引かぬ ぶつかり合い。
愛を育(はぐく)まず、愛されぬ父子とは こんな末路を向かえるのかと鳥肌が立った。

というか公開当時、この作品に魅了されて模倣犯とか出なかったのかな?

久しぶりに映画を観て恐怖で身体が 小刻みに震えた。



😷コロナパンデミック中に鑑賞😷
健一

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