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復讐するは我にありのクリームのレビュー・感想・評価

復讐するは我にあり(1979年製作の映画)
3.9
実際にあった西口彰連続殺人事件をモデルにした小説の映画化。
緒形拳さんは、勿論素晴らしいのだけど、他の癖の強い豪華キャストが、面白くて、目が離せませんでした。個人的には、主人公よりも父の方が面白かったです。主人公が何故、殺人鬼になったのかもう少し解りやすいと良かったと思います。

昭和39年。5人の殺害容疑、詐欺その他で全国に指名手配された榎津巌の78日間の逃亡を振り返ります。まず、巌は福岡で顔見知りだった専売公社職員2名を金目当てに殺害した。その後、 指名手配犯となり、警察は巌の女関係、実家への聞き込みを開始するのでした。



ネタバレ↓



巌の実家は別府で温泉宿を営んでおり、父の鎮雄、病身の母かよ、妻の加津子と2人の娘がいた。
父は敬虔なクリスチャンで、偽善的な父に反発し、犯罪行為を繰り返し服役。刑務所から帰ると嫁と父の関係が噂になっており、家に寄り付かず、金に困っての殺人だった。その後、詐欺を働きながら逃亡を続け、浜松の売春宿「あさの」で、経営者のハルと愛し合う。ハルの母は、殺人で服役した過去があり、覗き趣味でギャンブル好きの猛烈ババア(清川虹子がハマってた)だったが、巌は上手く手懐けた。
東京の弁護士を金目当てで殺害。 遺体を洋服ダンスに隠し、ハルの元へ。
ハルは、映画のニュースで巌の正体を知るが、それでも自宅に匿う。 ハルはずっと旦那から屈辱的な扱いを受けてきたが、前科のある母と生きる為に我慢してきた。 初めて自分の意思で巌に惚れ、彼の子供を欲しいと思った。巌もハルが好きだった。
弁護士の死体が発見され、追い詰められた巌は、ハルとハルの母を殺した。
売春婦が、巌を目撃し、通報。 逮捕となった。
死刑が確定した巌に面会に行った父。巌は、自分が殺したかったのは父だった言う。 死刑執行後、遺骨を抱えた父と加津子。憎しみを投げ捨てる様に巌の骨を投げる2人だった。

嫁·倍賞美津子の大胆な誘惑に必死で抵抗する義父。風呂掃除のシーンで、たくしあげたスカートから、はみ出す太ももとそれを見る義父の視線は、強烈なインパクトでした。最後の面会時に息子に殺したかったと言われ顔面に唾を吐く父。嫁と山頂で巌の遺骨を撒くと言うより、怒りを込めて投げ捨てる姿に巌が父を偽善者呼ばわりしていた事に納得する。巌より、父の方が面白かった。
巌が殺人鬼になった要因がイマイチ解らず、幼少期、国家によるキリシタン弾圧シーンで神の不在を感じた巌は、犯罪や殺人を続け、神がいるなら、俺を裁いてみろって事だったのかな?難しかったです。映画としては面白かったですが…。
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